小町寺は正式には如意山補陀洛寺(にょいさんふだらくじ)といい、叡山電鉄市原駅から徒歩10分ほどの府道40号線沿いにあります。
小町寺は小野小町終焉の地と伝えられています。「秋風の吹くにつけてもあなめあなめ 小野とはいはじ薄生ひけり」という歌でも名が知られています。
積み上げられた石段を上っていくと境内に小さな本堂があり、堂内には小町老衰像が安置されています。
本堂に向かって左手には、現在では水が枯れてしまっている小町姿見の井があり、その反対側(道路側)には、深草少将供養塔や小町供養塔が立っています。
謡曲「通小町」の後場では、市原野の薄の中から小町の亡霊が登場し、僧に受戒を請いますが、深草少将の怨霊が現れて、私を残して行くのかと恨み、小町の受戒を妨げます。
「煩悩の、犬となって、打たるると、離れじ」という、ひたむきな愛情をもてあそばれた男の執念のすさまじさと、それから逃れようとする女心の交錯を主題とした特異な作品です。恋に破れた少将は、死してなお現世の執着をすてず、業火をいとわず、自分の成仏はもちろん、女の成仏もさまたげようとします。~権藤芳一『能楽手帖』駸々堂出版より
この「通小町」を思い浮かべ、人間の煩悩の果てしなさを感じながらお参りをしました。
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小町寺 |
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本堂 |
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謡曲史跡保存会の駒札 |
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小野皇太后供養塔 |
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小野小町供養塔 |
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小町姿見の井 |
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穴目の薄碑 |
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