2017年3月8日水曜日

野宮神社(1-107、京都市右京区嵯峨野宮町)

野宮神社(ののみやじんじゃ)は嵯峨野の竹林のなかにあります。

小さな神社ですが、黒木の鳥居と小柴垣が目に留まります。

源氏の愛を失った六条御息所の寂しさ、それでもなお愛さずにはいられない女心の哀しさを描いた『源氏物語』賢木(さかき)巻を題材とした謡曲「野宮」(ののみや)で有名な謡蹟です。
秋も末の頃、旅僧が嵯峨野の野宮の旧跡を訪れる。すると、そこに榊の枝を持った美しい女性が現れ、今日は自分がこのところで、毎年昔を偲んで行っている御神事の日だから早く帰ってほしいという。僧がその訳を尋ねると、女は、その昔光源氏が野宮に六条御息所を訪れたのが九月七日、今日であったことを告げる。そして、問われるままに、御息所と源氏との恋のいきさつなどを語る。僧が素性を尋ねると、女は自分が御息所の霊の化身であることを明かし、黒木の鳥居の陰に消え失せる。
そこで、僧は所の者に野宮のいわれなどを尋ね、夜もすがら御息所の供養を行っていると、御息所の霊が、在りし日の美しい姿で網代車に乗って現れる。そして、賀茂の祭りの日に、葵上と車争いをしてはずかしめられた屈辱の思い出を興奮して話し、その妄執を晴らして欲しいと頼む。しかし、やがて恨みも悩みも忘れ、秋の色濃い当たりの景色に、昔を偲んで静かに待っていたが、また車に乗って立ち去っていく。〜馬場あき子『源氏物語と能』婦人画報社より
訪れたのは晴れた秋の早朝、竹林の小道も朝露に濡れていました。

静寂な嵯峨野のこの場所にただ一人で佇んでいると、黒木の鳥居の陰からすっと六条御息所が現れるような錯覚に陥りました。

説明を追加

黒木の鳥居

黒木の鳥居

社殿


苔の庭

苔の庭

竹林と小柴垣

野宮神社駒札

謡曲史跡保存会駒札

野宮神社説明板

黒木の鳥居説明板

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